昨日夜9時半より北摂夜間救急動物病院にて行われた、平田雅彦先生による血液学セミナー「甲状腺機能低下症の治療~甲状腺機能亢進症の診断、治療」に参加してまいりました。
甲状腺機能低下症の中で、臨床兆候が見られない潜在性甲状腺機能低下症は基本的に投薬の必要性はないのですが、高脂血症や抗サイログロブリン抗体陽性が伴う症例では治療が推奨されています。
甲状腺機能亢進症は特に高齢の猫で多い病気です。95%以上が10歳以上(平均13歳)で発症し、ほとんどが良性の線種様過形成ですが、この中で1~3%は悪性です。症状としては、よく食べているのに痩せてくる、多飲多尿、活発になる、下痢、嘔吐などがあります。
この中で活発になるというものの中には、攻撃的な行動、不安な表情、徘徊(夜鳴き)、てんかん様発作といったものも含まれてきます。
10年ほど前まではこの病気を日本では診る事自体稀だったのですが、最近は検査も簡単にできるようになったおかげで、私達のような病院でもこの病気をたびたび診るようになってきました。
この病気のやっかいな所は、他の疾患と症状が似通っており間違いやすいという事です。特に炎症性の肝臓、腸疾患と間違えてそれに対する治療を行うと、甲状腺機能亢進症の症状も抑えてしまい病気を隠してしまう事もあります。
ただ診断自体はそれほど難しくなく、遊離甲状腺ホルモン(FT4)が基準値を超えていれば確定診断となります。
アメリカでは10歳以上の猫のスクリーニング検査に、この甲状腺ホルモンの測定は欠かせられない項目となっています。皆様の猫ちゃんも一度検査を受けられてはいかがでしょうか。