2011年3月28日月曜日

VRCグランドカンファレンス ~腫瘍学セミナー

 3月24日(木)夜9時よりネオベッツ主催のカンファレンス「化学療法~匙を投げずにサジ加減」に参加してまいりました。化学療法の基本的な知識からその臨機応変な使い方、(いわゆるサジ加減!)についてネオベッツVRセンターの田戸 雅樹先生にお話していただきました。
腫瘍病変に対して行う治療の中で、最も多く行われる処置は外科であり、なおかつ腫瘍細胞を減らすのに最も効果的な処置です。
しかし、血液の癌など特定の場所に限定されない種類のものでは、抗癌剤が最も有効な手段となります。
抗癌剤を使った治療の中で、一番大事なことは副作用で動物を苦しめない事ですが、逆に副作用さえ出なければ、型にはまった四角四面の治療をするのではなく、臨機応変にその子の体と相談しながら、使える可能性のある薬剤はすべて使いチャレンジしていく方が、良い結果が出ているようです。
今回のセミナーで、基本的なルールは守りながらも、その動物の苦しみを軽くする為にあらゆる可能性を試していく柔軟性が必要だと感じました。

2011年3月18日金曜日

即戦力眼科学シリーズ ~臨床兆候からアプローチ~

 一昨日、夜9時半より北摂夜間救急動物病院にて行われた、ファーブル動物病院眼科 山下 真先生による眼科セミナーにツルノ獣医科病院副院長 鶴野 佳洋先生の御厚意で参加してまいりました。
まずはじめに、東日本大震災により被災された方々への黙祷を行い、皆が様々な気持ちを心に勉強会が始められました。
今回のセミナーは「濁った眼」という副題がついたシリーズの第1回目で、眼の濁りが見られた時における、角膜疾患ついて細かく話しをしていただきました。
ボストンテリアに見られる内皮ジストロフィー、猫で見られる原因不明の急性水泡性角膜症、キャバリアに多い瞬目不全、ダックスに見られる点状角膜炎、その他多くの疾患について内容の濃いセミナーでした。
我々一般診療医は専門医と違い、高度な診断器具を持つ限界がありますが、少しの工夫で診断に役立つ方法なども教えていただきました。これらの知識を日々の診療に役立てていきたいと思います。

2011年3月9日水曜日

高齢期疾患の早期発見と各病期の戦略-エビデンスに基づく慢性腎臓病の治療-

3月6日(日)、ヒルトン大阪で行われた、日本ヒルズ・コルゲート株式会社主催の春のヒルズ学術講演会2011「高齢期疾患の早期発見と各病期の戦略-エビデンスに基づく慢性腎臓病の治療-」に参加してまいりました。
講師はカリフォルニア大学サンディエゴ獣医療センターの腎泌尿器学と血液透析サービスのコーディネーターをされているDr.Sheri Rossで、腎臓や泌尿器に関する研究を多くされている方です。

今回のセミナーのテーマである慢性腎臓病は、中高齢の犬・猫でよくみられる病気の一つです。
犬・猫の慢性腎臓病を4つの段階に分け、その段階に合わせた治療をしていくことで病気の管理を行う、という診療ガイドラインのもとに講演が進められました。

慢性腎臓病において重要なのは、初期の段階で病気を発見することです。
定期的に健康診断として行った血液検査で発見されることも少なくありません。
早めに治療を始めれば、病気自体を完治させることは出来なくとも進行を遅らせること、生活の質を維持してあげることは可能です。

また慢性腎臓病において食事管理は大変重要です。
初期の段階から腎臓病に対応した療法食を食べさせることで、一般食を食べている個体よりも生存期間が長くなり、かつ慢性腎臓病の進行も遅らせることが出来るなどのデータも挙げられていました。
慢性腎臓病が進行し、食欲がなく自分で食べることが出来ない場合は、食道に栄養補給用のチューブを設置し、そこから流動食を摂らせることで、栄養不良および脱水を改善するという処置を推奨されていました。

・最近、少しずつ痩せてきた気がする
・以前より水を頻繁に飲んでいる
・おしっこの回数が増えた
・食欲が落ちたような感じがする
・毛がぼそぼそしている、毛並みが悪くなった

そのようなことはありませんか?
もしかすると、それは加齢による変化だけではなく慢性腎臓病の症状として現れているものかもしれません。
当院では、普段から定期的な受診および検査を推奨しております。
上記項目に思い当たることがある場合は早めに動物病院での受診をお勧めいたします。

2011年3月7日月曜日

実践 麻酔・疼痛管理

 昨日午後2時より大阪市内で行われた、北尾 貴史先生による麻酔セミナーに参加してまいりました。
北尾先生は日本の獣医師免許を修得された後、オクラホマ州立大学獣医学部に入られアメリカの獣医師免許も修得され、麻酔科レジデントとしてアメリカの学生の教育を行ったという経歴の方です。
今回のセミナーでは体重別の麻酔回路の使いわけ、幼齢動物の麻酔、短頭腫の麻酔、帝王切開時の麻酔、腎疾患の麻酔など実践的でかつアカデミックな内容のセミナーでした。
セミナー内でも頻繁に言われていた事ですが、痛みをコントロールすることが麻酔薬の減薬につながり、結果的に麻酔の安全性を上げることとなります。