2025年6月20日金曜日

コロナワクチンは必要?

  1.コロナワクチンは必要か?

 2.ワクチン同時接種の是非は?


 まずコロナと言っても人のではなく、犬のしかも腸コロナについてです。(犬にも人と同じような伝染力の強い呼吸器に症状が出るコロナはありますが予防はできません)


 犬腸コロナ感染症については1971年に初めて確認され、1980年初頭にはワクチンが開発されましたが900頭以上の副作用が報告され、そのうち300頭以上が死亡しました。

 その後、私が藤井寺動物病院で研修を始めた1998年頃にコロナを含む新しい混合ワクチンが発売されました。

 当時、是枝先生が1980年頃にコロナワクチンで多くの副作用を経験された事を語ってくれ、このワクチンに対する警戒心を抱きました。


 そのすぐ後2004年、JAHA国際セミナー、コロラド州立大学教授 Dr. Michael Lappinによる感染症学セミナーにて、イヌコロナウイルスはパルボウイルスの免疫を獲得していれば同時に予防できるという話を聞き、腸コロナ感染症を予防するには従来のパルボ予防のみで大丈夫だと確信しました。


 当院では以上のことからコロナワクチンを含む混合ワクチンは特殊な事情(ワクチンの欠品など)以外では意味がないので使用しません。呼吸器病コロナについては予防法はありませんので不特定多数の犬が集まる怪しい場所を避けてくださいとしか言えません、ただし基本的には対症療法で治癒します。


 この他の抗原により予防する交叉免疫の概念は、猫のFIPにも関係があり古くは1990年代初頭アメリカで猫白血病ワクチンの使用が始まると、今まで多発していたブリーディング施設でのFIPの発生率が激減したそうです。また2015年にトルコで発表された論文にもこのワクチンでFIPの発生率を下げたとの報告があります。

 このような事から、当院では複数頭飼育の家庭ではFIPのリスクを下げるため白血病ワクチンを積極的にお勧めします。

 もちろんFIPを発症した症例にはモルヌピラビルによる積極的介入で寛解を目指します。


 2番目に、ワクチンの同時接種の是非ですが基本的な免疫の話からすれば、当然問題ありません。厚生労働省の公式見解により、人では幼児や医療従事者など効率的に免疫をつけさせるために同時接種が推奨されています。

 ではなぜダメであるという話があるかと言えばこれはもし副作用が出たときにどのメーカーに責任があるかということを明確化するためだけの目的です。


 長文になりましたが、表面上の話で病気を語り、本質的な病態を捉えていないと病気がなぜ発生するのか、ではどの様な治療方針を立てて病気と向き合っていくかができません。


 あなたの家族を健康で幸せにするにはどうしますか?

 

2025年6月6日金曜日

耳ダニ症

 


 当院では久しぶりに見たミミヒゼンダニです。
 黒い耳垢があり、痒がっていたら居るかもしれません。



2025年4月21日月曜日

肛門嚢腺癌(肛門嚢アポクリン腺癌)

  先日、肛門嚢の摘出術を行いました。病理組織検査が先ほど帰ってきたのですが、やはり肛門嚢腺癌でした。

 この症例は3週間ほど前にお尻を気にすると来院されました。

 いつものように肛門嚢を直接触診し内容物を排出しようと試みたところ、硬結感を感じ痛みがあったため炎症を疑い抗生剤を服用してもらい、1週間後再度確認しました。

 治っている事を期待していたのですが全然その気配がなく、むしろ大きくなっていました。

 この症例は女の子であり、病変の動きがあまり良くない印象でしたのですぐに手術を勧め、先週、肛門嚢摘出術を行いました。

外見からは腫れているのは見えません、肛門は巾着縫合をかけています





 手術当日にも確認したのですが、さらに大きくなっておりタイムリミットは迫っていたようでした。手術そのものは無事終了し、当日に帰宅してもらいました。

 この様に最初から癌であることを想定して手術は行なっていますが、やはり病理検査で完全切除であるとホッとします。注意は必要ですが、最近では分子標的薬の成績も良い様なので色々検討しながら経過観察していきます。





2025年4月14日月曜日

目からウロコの猫診療

  昨日、午後1時より行われた大阪麻布臨床獣医研究会主宰の猫診療セミナーに参加してまいりました。今回はメディアにもよく出られている東京猫医療センター 服部 幸先生が講師です。


 猫特発性膀胱炎から始まり下痢の原因としてIBDと消化管型リンパ腫や甲状腺機能亢進症、興味深かった短腸症、便秘の原因となる大腸癌、巨大結腸症、関節炎について、また治療としての食事や薬剤の選択と、休憩も飛ばし話し続けた盛りだくさんの4時間でした。


 毎回思うのですが、実に高齢の先生方まで熱心に質問を投げかけられ、今まで参加した勉強会の中では熱度が高い研究会です。

2025年4月13日日曜日

院内さんぽ

  よいこのわんちゃんは病院を散歩するのが大好きです。うまく院長をおだててトリーツをゲットします。




2025年4月12日土曜日

春の健康診断

 いつも病院大好きで、飛び込んで来てくれるわんちゃんが春の健康診断を受けにこられました。
 元気いっぱいにアピールしてくれるのですが、何気なくエコーを当てると、ちょっと心臓の弁膜に異常が見つかりました。

僧帽弁閉鎖不全症

 まずは症状もなく元気だということ、左房の拡大も見られないことから現時点では投薬せずに、定期的に観察していくことになりました。


 

2025年4月8日火曜日

心臓エコー検査

 


 先日、獣医師会の勉強会で講習させていただいたグリーン動物病院院長 田口大介先生のやり方を参考にさせていただき、動物に負担をかけず聴診器を当てる感覚で心エコーを診るようにしています。

 まだ勉強中ですが、自分自身も今までよりずっと楽に診れるようになりました。

2025年3月28日金曜日

4月1日より 令和7年度の狂犬病予防接種が始まります


 

4月1日より 令和7年度の狂犬病予防接種が始まります。

当院は、堺市の狂犬病予防集合注射【屋内会場】に指定されております。

● 予約制ではありません。月曜日〜土曜日の次の時間内にご来院ください。
      ・ 午前9時〜11時
      ・ 午後4時30分〜6時

● 事前に『狂犬病予防注射のお知らせ』に同封されている『問診票』に記入をお願いします。
● リードの装着をお願いします。
● 首輪が抜けないか、緩すぎないか(指が1〜2本入る程度)確認してください。
● 事故防止のため、必ず犬を制御できる方がご同行ください。
● 待合室の状況によっては、駐車場でお待ちいただく場合があります。
● 状況を見ながら待合室か駐車場で接種いたします。
● 当日の体調が悪い場合、注射できないことがあります。
● お支払いは現金でお願いします。


堺市動物指導センターから送付されている『狂犬病予防注射のお知らせ』をよく読んで、ご来院ください。

令和7年度は黄色の封筒です。



初めて狂犬病注射を打たれる飼い主様で、『狂犬病予防注射のお知らせ』をお持ちでない方は以下をお読みください。

      ↓

初めて狂犬病注射を打つ方へ

令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬や猫について、マイクロチップの装着が義務化されました。
つまり、ブリーダーやペットショップ等で購入した犬や猫にはマイクロチップが装着されており、飼い主になる際には、ご自身の情報日変更する必要があります。これを「変更登録」といいます。

また、変更登録された情報が堺市へ通知されると、堺市へ変更登録の申請を行ったとみなされます。

☆所有者の「変更登録」がお済みの方
→登録情報の確認画面で、犬の所在地が堺市であることを確認いたします。
登録事項の確認画面を表示し、所在地の提示をお願いいたします。


☆所有者の「変更登録」がお済みでない方
→「犬と猫のマイクロチップ情報登録」制度のウェブサイトから申請や届け出を行ってください。登録事項の確認画面を表示し、所在地の提示をお願いいたします。

ネット環境が十分でない場合や、手続き方法が判らない場合は下記の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」専用コールセンターにお問い合わせください。


「犬と猫のマイクロチップ情報登録」

〇 ウェブサイト:https://reg.mc.env.go.jp/

〇 コールセンター:03-6384-53204月1日より

2025年3月17日月曜日

関西医科学生交響楽団 第32会定期演奏会

 



 昨日、枚方市総合文化芸術センター大ホールにて行われた演奏会を鑑賞してまいりました。「関西医科学生交響楽団」という名称ですが、医学生だけでなく半分近くは関西にある他学科の大学生や院生、卒業生で構成されています。




 今年初めて娘が参加した楽団ですが、練習場所が京都府立医科大学と遠いのと、一昨年から参加しているオーケストラリガーレ、自身の大学楽団、病院実習とてんてこ舞いの1ヶ月だったみたいです。しかし楽しそうに毎日やっているので良かったなと親としては思います。




2025年3月10日月曜日

開業医のための犬と猫の心エコー検査

  昨日13時半より、堺市産業振興センターにて行われた心臓病セミナー「開業医のための犬と猫の心エコー検査」に参加してまいりました。講師は青森県で開業されているグリーン動物病院院長 田口大介先生です。

 田口先生は宮崎大学で萩尾光美先生に師事し、卒業後は茶屋ヶ坂動物病院で循環器を極め現在に至ります。

 現場主義の職人気質という印象の先生ですが、胎児の心臓計測などの学術的研究もされ、多くの学会発表がその実力を裏打ちしています。

 セミナーの内容は臨床現場での実践的な知識、テクニックをお話し頂き、余りに情報量が多いので今動画を見直しながら再度復習しています。

 18時までの勉強会でしたが、みんなの熱気であっという間の4時間半でした。