2010年4月23日金曜日

VRCグランドカンファレンス~神経病3

 昨日夜9時よりネオベッツ主催で行われた特発性てんかんについてのカンファレンスに参加してまいりました。
人では約100人に1人の割合で起こるといわれておりますが、犬でも1~2%、猫で0.5%の発生率が報告されています。ただ人の方でも、てんかん発作の分類や診断が刻々と変化しており、犬猫ではさらに病気の特性上なかなか部位の特定がし辛いのが現状です。
そのような中で現在行われている検査としては、まずその発作が特発性てんかんなのか症候性てんかん(脳の器質的病変による)なのかをMRIにより診断し、そこから追加検査として脳脊髄液の採取や脳波トポグラフィ測定などに入ります。
これはトピックス的ではありますが、将来的には詳細な脳波検査を行うことでてんかん発作の発生部位を特定し外科的に治すという事が可能になるだろうと言われていました。
とはいえ現在のところ特発性てんかんの治療は内科的な内服薬にたよるものがほとんどです。様々な薬の中でその子にあった薬を選んでいく事は非常に難しい事ですが、飼主様と協力しながらこの病気を克服していきたいと思います。
なお高齢の症例では脳腫瘍の確立が非常に高くなります、診断には是非MRI検査をご利用ください。

2010年4月16日金曜日

パピークラス

 3月25日(木) 院内にてパピークラスを開催いたしました。(パピークラスとは)

今回の参加者は、
・ゴールデンレトリバーのランちゃん です!
今までのパピークラスの様子

前回のパピークラスに引き続き、様々な刺激に慣れる練習や、歯みがきの練習伏せの練習などをしました♪

もともと音に敏感なランちゃん。
最初はドライヤーを持つ安国先生になかなか近づくことが出来ませんでしたが、時間をかけ、ランちゃんの大好きなごはんを使いながら少しずつ音と風に慣らしていきました。
写真は、実際に温風を当てているところです。
随分と近づくことが出来ていますね♪

次は「フセ」の練習です。
ランちゃんは、まだ「フセ」という号令で何をすればいいのかを知りません。
まずは号令をかけず、フセとはどんな体制をとるのかを手で誘導して教えます。
それが出来るようになってきたら、誘導と号令を合わせていき、最終的に号令だけでフセが出来るようにしていきます。
今回は、フセとはどんな体勢をとるのかを教える練習をしました♪


歯みがきの練習では、歯ブラシを使って練習しました!
歯みがきはわんちゃんを歯周病から守るためにとても重要です。

前回までのパピークラスで、口周りを触る・口の中を見る練習をしてきたランちゃん。
歯ブラシ自体を怖がるわんちゃんもいますので、まずは歯ブラシを見せ、においをかがせたりすることでランちゃん自身に確認をさせてから練習に入りました。
このとき、歯ブラシをおもちゃのように噛ませないように注意します。

次に、歯ブラシを歯に当てていきます。
最初は歯に一瞬当てるだけ、それが出来るようになったら今度は当てる時間を1秒長く、2秒長く・・・と徐々に伸ばして行き、うまく歯ブラシを当てられるようになったところで歯の表面を歯ブラシで少しずつ磨いていきます。
最初から全部の歯を無理に磨いたりはせず、1秒でも2秒でも楽しく歯磨きが出来るように慣らしていくことで嫌がらずに受け入れるようになります。

ランちゃんは歯ブラシ初挑戦でしたが、歯ブラシを噛むこともなく上手にできていました♪

                                

パピークラスはいつでもご参加いただけます♪
ご興味のある方・参加をご希望の方は、当院までお問い合わせ下さい!

なかで動物病院(072-271-7225)

犬の甲状腺機能低下症

 昨日夜9時半より北摂夜間救急動物病院にて行われたアイデックスラボラトリーズ 平田雅彦先生による血液学セミナー「犬の甲状腺機能低下症」に参加してまいりました。
人では甲状腺に起因する1次性甲状腺機能低下症から視床下部に起因する3次性まで分類されていますが、犬では今のところ3次性は確認できないそうです。また犬の多くは1次性甲状腺機能低下症(95%以上)であり、その50%は人で橋本病と呼ばれるリンパ球性甲状腺炎、残りの50%は原因不明の特発性甲状腺萎縮に分かれます。日本ではあまり甲状腺を検査する事が一般的ではありませんので中高齢からの病気だと思われがちですが、アメリカでは繁殖に用いられる個体はリンパ性甲状腺炎に関連した抗サイログロブリン抗体の有無を検査するので若齢から甲状腺機能低下症を検出するそうです。
甲状腺機能低下症の症状は、無関心、肥満、寒がる、脂漏症、脱毛、膿皮症、徐脈、筋力低下など様々です。時には神経麻痺や副腎機能不全、硬直性歩行などといった甲状腺以外の疾患を思わせる症状を示すこともあります。診断としてはTSH、FT4を測定することによって行いますが、検査の特性をしっかりと理解し解釈する必要があります。
先ほども出てきたようにけっして老犬だけの病気ではありません、中には副腎皮質機能亢進症を疑わせる血液所見を示すものもあります、臨床症状と血液検査の結果を正しく解釈し、早期に治療を行い、病気を末期にまで進行させてしまわないように注意しましょう。

2010年4月8日木曜日

すっきりとした肝疾患の考え方 ~血液検査を有効活用しましょう~

 昨日夜9時半より北摂夜間救急動物病院にて行われた宮崎大学付属動物病院 鳥巣至道先生による特別セミナーに参加してまいりました。
栄養学的観点から見た肝疾患の治療を中心に、血中アンモニア濃度、総胆汁酸濃度の検査の解釈、陥りやすい間違いを実際の症例を例に挙げられながら話していただきました。
この中で胆汁酸の日内変動のバリエーションが様々である事、胆汁酸単独の上昇を組織学的観点から分かりやすく解説していただいた事には、今までどこかすっきりしなかったつかえが取れた思いでした。また人でも以前から話題になっている必須アミノ酸であるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)が肝疾患の時に重要なファクターになっており、それを補充する事で今までコントロールが難しかった肝硬変のQOLを見事に改善する実例には驚かされました。現在、動物でもBCAAが足りているのかどうかは簡単に血液検査できますので一度確認されてはいかがですか?