昨日夜9時半より北摂夜間救急動物病院にて行われたアイデックスラボラトリーズ 平田雅彦先生による血液学セミナー「犬の甲状腺機能低下症」に参加してまいりました。
人では甲状腺に起因する1次性甲状腺機能低下症から視床下部に起因する3次性まで分類されていますが、犬では今のところ3次性は確認できないそうです。また犬の多くは1次性甲状腺機能低下症(95%以上)であり、その50%は人で橋本病と呼ばれるリンパ球性甲状腺炎、残りの50%は原因不明の特発性甲状腺萎縮に分かれます。日本ではあまり甲状腺を検査する事が一般的ではありませんので中高齢からの病気だと思われがちですが、アメリカでは繁殖に用いられる個体はリンパ性甲状腺炎に関連した抗サイログロブリン抗体の有無を検査するので若齢から甲状腺機能低下症を検出するそうです。
甲状腺機能低下症の症状は、無関心、肥満、寒がる、脂漏症、脱毛、膿皮症、徐脈、筋力低下など様々です。時には神経麻痺や副腎機能不全、硬直性歩行などといった甲状腺以外の疾患を思わせる症状を示すこともあります。診断としてはTSH、FT4を測定することによって行いますが、検査の特性をしっかりと理解し解釈する必要があります。
先ほども出てきたようにけっして老犬だけの病気ではありません、中には副腎皮質機能亢進症を疑わせる血液所見を示すものもあります、臨床症状と血液検査の結果を正しく解釈し、早期に治療を行い、病気を末期にまで進行させてしまわないように注意しましょう。