当院では、数年ほど前から吸入麻酔時、7〜8kgを境に、原則それ以上の個体には従来の半閉鎖式回路を、それより小さい個体ではジャクソンリース麻酔回路を使用しております。人では15kg以下の小児の麻酔によく使用されている方法です。この麻酔回路の利点は、回路が単純なため非常にレスポンスがよく、小さな個体の麻酔深度を安定させるのに向いています。欠点としては呼気を再循環させないため麻酔の消費量が多くなります。
しかしこの麻酔回路を使用することによってコストはかかりますが、今まで苦労していた超小型の個体の麻酔コントロールが安定してできるようになった思います。このような麻酔コントロールは、獣医麻酔専門医のお話を聞くまで知識としてはあっても、実行できませんでしたが、経験に基づいた知識の重要性を今更ながら学んだと感じました。