昨日夜9時より、ネオベッツ主催で行われたVRCグランドカンファレンス「神経病シリーズ」 “各論からせまる神経疾患”~頭蓋内疾患編①~に参加してまいりました。今回は脳神経部門 王子 隆先生が講演されました。
まず最初に頭蓋内疾患の中で奇形性疾患である、水頭症についてお話いただきました。一般的に水頭症の好発犬種としてはチワワなどの短頭種が挙げられますが、実際に手術適応になるような臨床症状が強く出るとは限らず、VRセンターでも手術を行った犬種別トップはミニチュアダックスフントだそうです。
次に脳腫瘍では、犬種を問わず高齢犬に発生し予後が良好に推移する髄膜種、年齢は問わずフレンチブルドックに好発する予後不良の神経膠種についてお話いただきました。
最後は炎症性/感染性疾患、特に肉芽種性髄膜脳脊髄炎(GME)と壊死性(白質)脳脊髄炎(NME/NLE)について重点的にお話されました。NME/NLEとは、過去にパグ脳炎と呼ばれていた疾患で現在ではパグ以外にもヨークシャテリア、マルチーズ、チワワ、ペキニーズ、シーズー、ポメラニアン、パピオン、フレンチブルドックで発症し、発症中央年齢 2歳5ヶ月(6ヶ月~7歳)、原因としてDLAClassⅡ(組織適合性抗原)に関連した遺伝性免疫疾患と言われています。治療としてはステロイドや免疫抑制剤などになりますが、生存期間を延長させることを目的とし根治は不可と言われております。その他にもステロイド反応性髄膜炎やフレンチブルドックの化膿性髄膜炎など、時間を忘れてしまうほど内容の濃いカンファレンスでした。