昨日夜9時半より、北摂夜間救急動物病院にて行われた、葉月会主催セミナーにツルノ獣医科病院 副院長 鶴野 佳洋先生の御厚意で参加してまいりました。
今回は病理診断を行う検査センター、ノース・ラボ代表 賀川 由美子先生による病理医サイドから見た肥満細胞種、前立腺癌、移行上皮癌について、最新のトピックスを交えてお話いただきました。講師の賀川先生は酪農学園大学を卒業後、アメリカの獣医科大学にて日本人としては2人目となる難関のアメリカ獣医病理専門医の資格を最短で習得されました。
最初にお話されたのは猫の肥満細胞種についてで、これは犬ではパグで発生する肥満細胞種によく似た動きをするのですが、最近の情報では今まで考えられていたサージカルマージンを考え直す方向に動いているそうです。そのお話から、現在よくグレード分けに使われているPatnaikの分類について、病理医間のグレード評価がまちまちな事実を病理医サイドの立場で説明され、2011年アメリカ獣医病理専門医による統一した分かりやすいグレード分類をお話いただきました。ただこの分類も日本によく飼育されている犬種ではあまりにも漠然としている為、現在、日本の病理診断医が集まり、日本に適した診断基準を模索しておられるそうです。
次の話題としては前立腺癌と移行上皮癌について、現在よく行われる尿道マッサージによる細胞採取法のコツや、診断の難しさをお話いただきました。
普段は聞けない病理医の本音を聞かせていただいたりと、非常に有益な時間でした。