桜も開きはじめ、ようやく日中は春らしい陽気に恵まれてきましたね。
フィラリア症予防薬のご案内にもお書きしましたように、ここ数年冬場でも天候の異常な状態が続いており、雪がちらついたかと思うと、2月にもかかわらず急に初夏のように暑くなり蚊に刺されたりするという事をしばしば経験いたしました。病院に来られる方のお話の中にも、昔に比べ年中蚊を見かけるということをよくお聞きします。
冬場に蚊に刺され、フィラリアに感染する確立は夏場より低いと思われますが、その刺した蚊がフィラリアの幼虫をもっていれば感染してしまうこともありえます。このことから当院ではフィラリア駆虫薬の年中投与をお勧めしております。
なお今年よりフィラリア駆虫薬を鶏肉ベースの物に変更いたしました。よりお腹に刺激がなく、かつ嗜好性もよいようです。毎月投薬をすることで確実にフィラリア症を予防してください。
現在、動物病院でフィラリア検査として行っている方法は、フィラリアの親虫を免疫学的に検出する抗原検査と、フィラリアの親虫が産んだ幼虫を目で確認する検査の主に二通りです。当院では最も検出精度の高いメーカーの検査キットを使いフィラリアの親虫の有無を調べております。
またフィラリア検査と同時に23項目の血液検査を加える事で、そのわんちゃんの現在の状態を診断する「血液健康診断セット」も行っております。血液検査は人間の病院でもよく行われますが、動物病院では最も雄弁に病気を語ってくれる検査でもあります。自身の事をうまく説明する事ができないわんちゃんの代わりに様々な情報を私達に語ってくれます。しかし検査をしたとしも、その時期や項目によって病気を発見できない時があります。ましてや少ない項目での検査では誤った診断につながりかねません。その情報をどれだけきっちり収集し、かつ分析できるかは私達獣医師にかかってきますので、日夜新しい知識をアップデートするよう努力していきます。
血液検査は決して特別なものではありません、勘や運に頼った治療をするのでなければ最低限調べなければいけない基本的な検査といえるでしょう。