2010年7月26日月曜日

犬の繁殖学 ~発情・交配・妊娠・分娩および新生子のケアにおける基礎的知識~

7月11日(日) 日本動物病院福祉協会開催の2010年度第1回指定VTセミナーに出席いたしました。
犬の発情時の徴候や交配に適した時期・不妊の場合の人工授精について・受胎後の検査・また分娩時の注意事項から、生まれた新生子の管理に至るまで日本獣医生命科学大学の堀達也先生にご講演いただきました。


犬は安産の動物だといわれることがございます。
しかし現在は人間が品種改良し作り出してきた犬種がほとんどで、実際は難産になるケースが多くあります。
小型犬や鼻の短い犬種、頭が大きく肩幅が広い犬種、骨盤腔が狭い犬種は難産になりやすいとされ、中には帝王切開でしか分娩できない犬種もいます。
また、父犬より母犬の体格が小さい場合も難産になる可能性が高くなります。

自宅分娩が可能な場合でも分娩中の危険を考え、飼い主が付き添えるようにしておかなければなりません。
そして、無事に出産を終えたとしても生まれた子犬に異常がある場合、母犬がうまく育児を出来ない場合にも人の手助けが必要になります。

また、交配を考える場合は遺伝病のことも考えなければなりません。
遺伝病の中には外見に現れないものもあるため、親犬には外見上遺伝病が現れていないとしても、交配によって子犬に発現する場合もあります。
同じ犬種だからといって安心した交配が出来るとも限りません。
犬種によっては、毛色の組み合わせにより遺伝的に異常な子犬が生まれることがあるといわれております。
遺伝病を少なくするためには交配前に親犬の健康状態だけでなく、遺伝的な疾患を持っていない家系かどうか、交配させても大丈夫な組み合わせであるかどうかを調べることが必要です。


愛犬に子犬を生ませることを希望される飼い主様もいらっしゃるかと思いますが、そこに至るまでの間にたくさんのリスクがあることは否めません。
母子共に安全な出産をするためにも、交配前からしっかりとした準備が必要です。

愛犬を交配させる前に、まずは一度動物病院にてご相談・受診されることをおすすめいたします。