9月29日夜9時より、HJS主催で行われた麻酔学セミナーに参加してまいりました。今回は東北大学助教授で、獣医師の佐々木一益先生と麻酔科専門医の勢旗幸子先生による合同セミナー「開業時から差をつける麻酔技術」という特別編です。
現在、小動物臨床における麻酔は、バランス麻酔と呼ばれる複数の薬剤を手術の目的に合わせて、組み合わせていくものが主体になっております。しかし多くは経験に基づいた薬剤の選択であり、人医のような徹底したデータ主義ではありません。動物医療自体の不完全な教育、またどのようにしても動物と完全なコミュニケーションがとれない以上、主観に基づいた決定をしなければ先に進めないといった、行き詰まり感がある中での苦渋の選択に他ありません。
これほど曖昧な中、さらに不確実な手術を行うのに、全く検査もせずに麻酔をかけるといった事が、どれだけ世の中で行われているのでしょうか?「清水の舞台」のような賭けをしなくてもよい獣医医療の時代は来るのでしょうか?