昨日夜9時より、ネオベッツ主催で行われたVRCカンファレンスに参加してまいりました。
今回のテーマは“各論からせまる神経疾患”〜頭蓋内疾患編②〜、前回に続き王寺先生の講演でアドバイザーとして秋吉 秀保 先生(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 獣医学専攻 高度医療学講座 獣医外科学教室 准教授)が参加されました。
今回から、特発性の疾患を主題にてんかん、前庭障害、顔面神経麻痺、三叉神経麻痺のお話をしていただきました。
特発性とは原因不明という意味で、各検査でも原因が認められない病態のことを示します。まずてんかんは、特発性てんかん、症候性てんかん、潜因性てんかんに分けられます。MRIを持たない私たち一次診療施設ではそれらを診断することはできませんが、まずてんかんなのか反応性発作(肝性脳症・低血糖などの代謝性疾患・中毒など基礎疾患の改善により、脳が正常に回復するもの)、失神、心因性非てんかん発作なのかを見極めていく作業を行います。犬種特異性はないと言われていますが、遺伝的素因が疑われるビーグル、レトリバー、シェルティ、バーニーズなどは最初からてんかんを考慮に入れておかなければなりません。てんかんのコントロールには定期的な血液検査による薬の増減や変更を追加を行わなければなりません。
前庭障害は高齢犬では比較的よく見られる症状です。特徴的な眼振があり診断はさほど難しくはありませんが、それが中枢性なのか抹消性なのかでは大きな違いがあります。
顔面神経麻痺も治療はなかなか厄介な疾患ですが、甲状腺機能低下症により起こる事もあり、この場合は甲状腺を治療する事により劇的な改善が見られるがあります。
今回は時間をオーバーしてしまうほど質疑応答があり熱気にあふれたカンファレンスでした。新しい知見も多々あり非常に役立つ講演でした。