12月11日、大阪府獣医師会主催で行われた整形学セミナーに参加してまいりました。講師は、アメリカカルフォルニア大学外科学助教授 林 慶先生が来日され講演されました。
座長は整形外科でも日本を代表する藤井寺動物病院・動物人工関節センター院長の是枝 哲彰先生という贅沢な講師陣でした。朝10時から夕方5時までの長丁場ではありましたが、まったく時間が経つのも忘れてしまうほどの楽しい時間でした。
内容としてはまず基礎的な破行診断をお話いただきましたが、アメリカの獣医学教育と日本のそれとの大きな隔たりを未だに感じさせられるものでした。アメリカでは大学在学中に徹底した臨床実習を行い、卒業した時点で充分即戦力に足る人材に仕上げていきますが、かたや日本の獣医学教育は基礎獣医学が主体で卒業後に自らの努力で臨床を学んでいくという状況にあります。これは国策の違いなので仕方がない事ではありますが、臨床の現場にいる人間としては歯痒い現状です。
午後からは股関節形成不全、前十字靱帯断裂に対する外科的整復術を最新の情報を交えながら非常に分かり易くお話いただきました。
アメリカの獣医学は確かに日本より進んでいます。しかしそれは最先端の医療器具を駆使しているからではありません。違うのは、人の能力を徹底して引伸ばし絶えず努力をさせる教育システムがあるからなのです。