2014年10月30日木曜日

再生医療〜神経再生〜

 昨日夜9時より、大阪府開業獣医師協議会(大阪府獣医師会)主催の第1回講演会「再生医療ー神経再生」に参加してまいりました。講師は愛甲石田動物病院の田村 勝利先生です。現在は、倉敷芸術大学生命科学動物生命化学科教授をされ、週の2日だけ自身の病院で診療されています。それ以前は京都大学再生医科学研究所にて博士研究員として研究されておられました。
 損傷した脊髄をいかに再生させるかをテーマに、骨髄由来単核細胞を使用し椎間板ヘルニアなどが原因で麻痺した症例に、手術と同時にくも膜下腔に直接投与し、神経の機能を回復させる医療を行われています。また慢性期脊髄損傷の症例にはScaffold(足場材)+骨髄由来単核細胞を使用するなどアグレッシブな治療も行われています。
 今回は、大学病院や名だたる病院から回復不可能と言われた症例を、最新の科学的根拠に基づいた再生医療を用い治療を行っている、町の動物病院の先生が講師でした。世の中には根拠のない治療がまかり通っておりますが、医療は科学である事を強く感じさせられてセミナーでした。

2014年10月21日火曜日

実際の症例から考える眼科学〜水晶体疾患PART2〜

 昨日夜9時半より、北摂夜間救急動物病院にて行われた眼科学セミナーに、鶴野先生の御厚意で参加してまいりました。
 今回は、白内障について症例を交えながら2時間、アメリカ獣医専門医としての知識を存分にお話いただきました。日本ではよく使用される白内障点眼薬については、アメリカでは選択されることはなく、まず非ステロイド系点眼薬を使用するそうです。これは白内障になった水晶体から漏れ出てくる物質により、眼球に炎症が起こるのを抑えるためです。
 また新しい論文に、水晶体前方脱臼に手術ではなく、直接角膜の上から押して整復する方法が報告されています。この方法でも約5割の症例で再発なく、視覚を維持できたそうです。辻田先生もこの方法を実地し、よい結果が得られたそうです。ただあくまでも手術の方が優れた治療であり、またこの方法にもちゃんと手順をふんで行わなければ成功しません。
 今回も非常に興味深い講義でした。

2014年10月18日土曜日

フウセントウワタ

 昨日、フウセントウワタを齧ったと、猫ちゃんを急いで連れて来られた方がいらっしゃいました。その猫ちゃんはフウセントウワタを齧ったとたん、よだれが止まらなくなり、その後、後ろ足をピンピン弾くように痙攣させたそうです。
 フウセントウワタはガガイモ科の植物ですが、キョウチクトウ科の1種でもあります。この樹液にはアスクレピアジンという成分が入っているらしく、これは強心配糖体と呼ばれる心臓に作用する物質です。
 この猫ちゃんは幸い軽症でしたので、すぐに輸液療法を行い様子を見て頂きました。
 この強心配糖体を持つ植物はキョウチクトウ科以外にも、ユリ科、ゴマノハグサ科(キンギョソウ)、キンポウゲ科(トリカブト、ニリンソウ)に多く含まれます。
 猫ちゃんは、何にでも興味津々ですので、気をつけてあげてください。

心臓病学セミナー

 昨日夜9時半より、モノリス主催で行われた北里大学 獣医循環器学会認定医 堀 泰智先生による「心臓バイオマーカーを利用した心疾患の評価」に参加してまいりました。
 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は心筋細胞内で恒常的に産生され、心筋の伸展刺激により即時的に血中に放出されます。これを利用し、心臓に潜在する負荷の状態を把握することができます。
 この検査の信頼性は高く、エコー検査よりも簡便に、しかも正しく心臓の評価ができることが素晴らしい点です。
 例えば、咳が酷いワンちゃんがいて、心臓の問題で咳をしているのか、気管虚脱で咳をしているのかを、数字で評価することができるようになります。
 今後も、有用な検査を使い正確な診断に心がけたいと思います。
 

2014年10月10日金曜日

ベーシック皮膚科学 犬の脱毛症

 昨日夜9時より、日本獣医学臨床フォーラム主催で行われた、村山 信雄先生による皮膚科学セミナーに参加してまいりました。
 今回は、毛周期の異常から引き起こされる脱毛症についてお話頂きました。前半は先天性脱毛症(カラーダイリューション脱毛症、黒色毛包発育異常、パターン脱毛症)、側腹部脱毛症、成長期脱毛、休止期脱毛について講義されました。後半は内分泌疾患からくる脱毛症(クッシング症候群、甲状腺機能低下症、性ホルモン失調)について話されました。特に甲状腺疾患についての考え方は、皮膚科専門医の視点から語られ、非常に興味深いものでした。

2014年10月3日金曜日

泌尿器の手術ガイドライン 上部尿路の手術

 昨日夜9時より、HJS主催で行われたSTART LINEセミナー2ndシーズン「泌尿器の手術のガイドライン 上部尿路の手術〜実習 容量の大きなものへの機械結紮〜」に参加してまいりました。
 今回のセミナーでは腎臓から尿管、膀胱にかけての外科的手技について、いつもと同様、手術の動画を見ながら講義が進みました。カテルブラーシュ操作変法を活用することにより結腸〜十二指腸間膜の中にすべての腸管を包み、腎臓へのアプローチをあれほど鮮やかに行える事に驚きました。この手技をマスターできれば、左右腎臓への外科がストレスなく行えます。また腎瘻や尿管−膀胱吻合など救命するには必要不可欠な手技も分かりやすく教えていただきました。