2011年3月9日水曜日

高齢期疾患の早期発見と各病期の戦略-エビデンスに基づく慢性腎臓病の治療-

3月6日(日)、ヒルトン大阪で行われた、日本ヒルズ・コルゲート株式会社主催の春のヒルズ学術講演会2011「高齢期疾患の早期発見と各病期の戦略-エビデンスに基づく慢性腎臓病の治療-」に参加してまいりました。
講師はカリフォルニア大学サンディエゴ獣医療センターの腎泌尿器学と血液透析サービスのコーディネーターをされているDr.Sheri Rossで、腎臓や泌尿器に関する研究を多くされている方です。

今回のセミナーのテーマである慢性腎臓病は、中高齢の犬・猫でよくみられる病気の一つです。
犬・猫の慢性腎臓病を4つの段階に分け、その段階に合わせた治療をしていくことで病気の管理を行う、という診療ガイドラインのもとに講演が進められました。

慢性腎臓病において重要なのは、初期の段階で病気を発見することです。
定期的に健康診断として行った血液検査で発見されることも少なくありません。
早めに治療を始めれば、病気自体を完治させることは出来なくとも進行を遅らせること、生活の質を維持してあげることは可能です。

また慢性腎臓病において食事管理は大変重要です。
初期の段階から腎臓病に対応した療法食を食べさせることで、一般食を食べている個体よりも生存期間が長くなり、かつ慢性腎臓病の進行も遅らせることが出来るなどのデータも挙げられていました。
慢性腎臓病が進行し、食欲がなく自分で食べることが出来ない場合は、食道に栄養補給用のチューブを設置し、そこから流動食を摂らせることで、栄養不良および脱水を改善するという処置を推奨されていました。

・最近、少しずつ痩せてきた気がする
・以前より水を頻繁に飲んでいる
・おしっこの回数が増えた
・食欲が落ちたような感じがする
・毛がぼそぼそしている、毛並みが悪くなった

そのようなことはありませんか?
もしかすると、それは加齢による変化だけではなく慢性腎臓病の症状として現れているものかもしれません。
当院では、普段から定期的な受診および検査を推奨しております。
上記項目に思い当たることがある場合は早めに動物病院での受診をお勧めいたします。